バイエル薬品 非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬「ケレンディア®」に慢性心不全の適応追加承認を取得
- 企業情報
- 左室駆出率(LVEF)40%以上の心不全患者に対するエビデンスを有する唯一のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)、心不全診療ガイドラインではクラスIIaで推奨
- LVEF 40%以上の心不全は治療選択肢が限られ予後に課題
大阪、2025年12月22日 ― バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:アシュラフ・アルオウフ、以下「バイエル薬品」)は、非ステロイド型選択的MRA「ケレンディア®」(一般名:フィネレノン)に慢性心不全の適応を追加する承認を本日、厚生労働省より取得しましたのでお知らせします。同剤はこれまで、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)の治療に使用されており、慢性心不全の適応追加により心腎連関治療へ一層の貢献を目指します。
日本の心不全患者数は、正確な統計はないものの推計120万人です1。人口の高齢化に伴い心不全患者数は増加を続けており、2030年には130万人を超えると推計されています1。心不全患者のうち約6割は、心機能の指標であるLVEFが40%以上です2,3。LVEF 40%以上の心不全患者では高血圧や心房細動などの複数の疾患が併存し、病状の管理は複雑になります。LVEF 40%未満の心不全に対する治療は進歩して予後の改善傾向が見られる一方、LVEF 40%以上の心不全では治療の選択肢が限られており、予後不良が課題となっています。
ケレンディア®への慢性心不全の適応追加は、日本人を含むLVEF 40%以上の心不全患者約6,000人を対象とした国際共同第III相臨床試験FINEARTS-HFのデータに基づき承認されました。同試験においてケレンディア®は、主要評価項目である心血管死およびすべて(初回および再発)の心不全イベント(心不全による入院または緊急受診)の相対リスクを統計学的有意に16%減少させました(発現率比[rate ratio:RR]0.84[95%CI、0.74-0.95;p=0.0072])。また、ケレンディア®の忍容性は良好で、既知の安全性プロファイルと一貫していました。本試験データは、2024年欧州心臓病学会(ESC)学術集会で2024年9月に発表され、医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに同時掲載されました4。
本試験結果よりケレンディア®は、LVEF 40%以上の心不全に対して有効性・安全性のエビデンスを有する唯一のMRAとなりました。「2025年改訂版心不全診療ガイドライン」においてケレンディア®は、LVEFの軽度低下した心不全(HFmrEF:LVEF 41~49%)およびLVEFの保たれた心不全(HFpEF:同50%以上)、つまりLVEF 40%以上の心不全治療においてMRAの中で唯一、推奨クラスIIaで推奨されています5。同ガイドラインではまた、2型糖尿病を合併するCKD患者を対象とした第III相臨床試験FIDELIO-DKDおよびFIGARO-DKDで得られたエビデンスを基に、2型糖尿病かつCKDを有する患者さんの心不全発症予防に対してケレンディア®が推奨クラスⅠ・エビデンスレベルAで推奨されています。
バイエル薬品は、2型糖尿病を合併するCKDに加え、慢性心不全の治療薬となったケレンディア®、さらに慢性心不全治療剤「ベリキューボ®」(一般名:ベルイシグアト)を通じて、心腎連関治療のアンメットメディカルニーズに一層の貢献を目指します。
【ケレンディア®(フィネレノン)について】
ケレンディア®(一般名:フィネレノン)は、ドイツ・バイエル社が創製した1日1回経口投与の非ステロイド型選択的MRAです。ケレンディア®は、ミネラルコルチコイド受容体(MR)の過剰活性化による悪影響を抑制することが示されています。MRの過剰活性化は、代謝、血行動態、炎症や線維化の要因によって引き起こされる可能性のあるCKDの進行や心血管障害に関与します。
ケレンディア®は日本において、2つの第III相臨床試験FIDELIO-DKD、FIGARO-DKDの結果に基づき、厚生労働省より「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。」を効能・効果として2022年3月に承認され、同6月よりバイエル薬品が販売しています。ケレンディア®はCKDの治療薬として米国、欧州など95カ国以上で承認されています。心不全の治療薬としては米国などで承認されています。
ケレンディア®の臨床試験プログラムFINEOVATEは現在、心不全とCKDをそれぞれ対象とした第III相臨床試験10試験で構成されています。MOONRAKERプログラムには、完了したFINEARTS-HF試験に加え、進行中の研究者主導共同試験であるREDEFINE-HF試験、CONFIRMATION-HF試験およびFINALITY-HF試験が含まれています。一方、CKDのTHUNDERBALLプログラムは、完了した第III相臨床試験FIDELIO-DKD試験、FIGARO-DKD試験、FINE-ONE試験、完了した第II相臨床試験CONFIDENCEに加え、進行中のFIND-CKD試験、FIONA試験、FIONA-OLE試験で構成されています。
<ケレンディア®錠の概要> 下線部追加
販売名:
ケレンディア®錠10mg、同錠20mg
一般名:
フィネレノン(finerenone)
効能・効果:
・2型糖尿病を合併する慢性腎臓病
ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。
・慢性心不全
ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。
用法・用量:
〈2型糖尿病を合併する慢性腎臓病〉
通常、成人にはフィネレノンとして以下の用量を1日1回経口投与する。
eGFRが60mL/min/1.73m2以上:20mg
eGFRが60mL/min/1.73m2未満:10mgから投与を開始し、血清カリウム値、eGFRに応じて、投与開始から4週間後を目安に20mgへ増量する。
〈慢性心不全〉
通常、成人にはフィネレノンとして以下の用量を1日1回経口投与する。
eGFRが60mL/min/1.73m2以上:20mgから投与を開始し、血清カリウム値、eGFRに応じて、投与開始から4週間後を目安に40mgへ増量する。
eGFRが25mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満:10mgから投与を開始し、血清カリウム値、eGFRに応じて、投与開始から4週間後を目安に20mgへ増量する。
製造販売承認日:
2025年12月22日(慢性心不全の適応追加承認)
製造販売元:
バイエル薬品株式会社
※フィネレノンの日本における効能・効果のうち「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。」について: 日本人部分集団では、第III相臨床試験FIDELIO-DKDの主要評価項目の複合エンドポイントにおいて、フィネレノンのプラセボに対するハザード比は0.91であった一方で、同試験の主要評価項目の構成要素の腎不全、および第III相臨床試験FIGARO-DKDの副次評価項目の腎複合エンドポイントにおいては、フィネレノンのプラセボに対するハザード比が1を上回りました。試験の対象となった全体集団と比べて日本人ではフィネレノンの腎不全への進展抑制効果が弱い可能性があります。
References:
1. Okura Y,et al.:Circ J. 2008 Mar;72(3):489-91. doi: 10.1253/circj.72.489.
2. Yaku H, et al.:Circ J. 2018 Oct 25;82(11):2811-2819. doi: 10.1253/circj.CJ-17-1386. Epub 2018 Sep 26.
3. Horiuchi Y, et al.:Eur J Heart Fail. 2023 Jul;25(7):989-998. doi: 10.1002/ejhf.2895. Epub 2023 Jun 4.
4. S.D. Solomon, et al.:N Engl J Med. 2024 Oct 24;391(16):1475-1485. doi: 10.1056/NEJMoa2407107. Epub 2024 Sep 1.
5. 日本循環器学会/日本心不全学会.2025年改訂版心不全診療ガイドライン.https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/JCS2025_Kato.pdf. 2025年12月閲覧
循環器疾患および腎疾患におけるバイエルのコミットメントについて
バイエルは循環器領域のリーダーであり、革新的な治療薬のポートフォリオを推進しています。心臓と腎臓は健康や疾患において密接に関わっており、バイエルはアンメットメディカルニーズが高い循環器疾患と腎疾患に対する新しい治療アプローチについて取り組んでいます。バイエルのポートフォリオを心臓病に対する精密医療へと転換させ、循環器疾患による大きな負担に対処して長期的な成長を促進することにより、今後の循環器市場における未来を切り開くことを戦略としています。バイエルのポートフォリオには、革新的な製品や前臨床および臨床開発のさまざまな段階にある複数の化合物がすでに含まれています。これらの製品・化合物は、循環器疾患の治療法に影響を与える可能性のある標的やシグナル伝達経路を優先的に開発するバイエルのアプローチを反映しています。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。2024年のグループ全体の売上高は466億ユーロ、従業員数は約93,000名、研究開発費は62億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエル薬品株式会社について
医療用医薬品、コンシューマーヘルスの各事業を通じて、日本の患者さんのための治療に変革をもたらす持続可能な取り組みを推進しています。医療用医薬品部門では、アンメットメディカルニーズの高い循環器・腎・代謝領域、オンコロジー領域、眼科領域などのスペシャリティ領域、画像診断領域にフォーカスし、革新的医薬品の提供を通じて高齢化が進む日本の患者さんの健康寿命の延伸とQOLの向上に努めています。コンシューマーヘルス部門では、赤ちゃんの「人生最初の1000日」に適切な栄養を届けるため、女性の妊娠前から妊娠期間及び産後・授乳期を通じて栄養をサポートするサプリメントなどに注力しています。詳細はwww.pharma.bayer.jp, Facebook, YouTubeをご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2025年12月22日、大阪
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。