バイエルの経口第Ⅺa因子阻害薬アスンデキシアン、日本・米国で承認申請
- 脳卒中再発抑制に対する新規作用機序の治療選択肢を目指す
- 第Ⅲ相臨床試験で重大な出血のリスクを増加させずに虚血性脳卒中発現リスクの有意な減少を示した初めての経口第Ⅺa因子(FⅪa)阻害薬
大阪、2026年5月19日 ― バイエル薬品株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:アシュラフ・アルオウフ、以下「バイエル薬品」)は、経口FⅪa阻害薬アスンデキシアン(一般名)について、世界的な開発が進展していることを受け、日本における製造販売承認申請に関する最新情報をお知らせします。アスンデキシアンは各国・地域で承認申請準備が進められており、日本では急性非心原性虚血性脳卒中または高リスク一過性脳虚血発作(TIA)発症後患者における脳卒中発症抑制の適応で厚生労働省へ承認申請が行われました。また米国では、同様の適応について行われた承認申請が、米国食品医薬品局(FDA)に受理されています。
脳卒中は、死亡および要介護の主要因で、最新の厚生労働省調査によると日本の脳卒中患者は158万人を超えています1。脳卒中再発抑制において抗血栓療法は重要な役割を担っていますが、再発リスクは依然として高く、脳卒中経験者の5人に1人前後が5年以内に再発を経験します2。また、虚血性脳卒中の再発は初回発症時よりも重篤な障害を残し、死亡リスクも高い傾向にあり3,4,5、患者さんや介護者、さらに社会保障制度への負担軽減のためにも「くりかえす脳卒中」への対応が急務となっています。抗血栓療法においては、効果と出血リスクのトレードオフが長年の課題とされており、出血リスクを高めることなく長期にわたり、脳卒中再発リスクを低減させる新たな作用機序の治療選択肢が強く求められています。
今回のアスンデキシアンの承認申請は、急性非心原性虚血性脳卒中または高リスクTIAの発症後患者12,000人以上を対象に、アスンデキシアンの有効性および安全性を検討した第Ⅲ相臨床試験OCEANIC‑STROKEのデータに基づき行いました。本試験において、既存の抗血栓療法である抗血小板療法との併用下でアスンデキシアン50mgを1日1回経口投与したときの虚血性脳卒中の発症抑制効果と安全性をプラセボと比較検討した結果、アスンデキシアンは国際血栓止血学会(ISTH)出血分類による「重大な出血」事象のリスクを増加させることなく、虚血性脳卒中の発現率を26%有意に減少させました[原因別ハザード比(csHR):0.74、95%信頼区間(CI):0.65~0.84、p<0.0001]。さらに、本試験ではFⅪa阻害薬の第Ⅲ相臨床試験として初めて、虚血性脳卒中の発現リスク減少に関し、プラセボとの比較により優越性が検証されました。本結果は国際脳卒中学会(ISC)2026で発表され、医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載されています6。
バイエル薬品は、抗凝固・抗血小板領域で長年培ってきた知見を生かし、「くりかえす脳卒中」に対して血液凝固FⅪa阻害という新たなアプローチにより、これまでの課題克服に貢献したいと考えています。今後も、革新的な医薬品を通じてアンメットメディカルニーズに応えることを目指します。
【血液凝固FⅪa阻害薬アスンデキシアンについて】
アスンデキシアンは、ドイツ・バイエル社が創製した1日1回経口投与の血液凝固FⅪa阻害薬です。FⅪaは血液凝固経路のタンパク質であり、止血と血栓形成における関与はそれぞれ異なります。FⅪaは、病的な血栓の形成や血管閉塞に関与していると考えられていますが、血管損傷部位の出血を止める止血栓の形成への関与はごく限定的です。アスンデキシアンは開発中であり、規制当局によって使用が承認された国や適応症はありません。
References:
1. 2023年「患者調査の概況」(厚生労働省)(政府統計 e‑Stat)※脳血管疾患の全国推計患者数(ICD‑10:I60–I69)から「その他の脳血管疾患」を除いた算出値
2. Kolmos M, et al. Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases. 2021 Aug 1;30(8):105935.
3. Feigin VL, et al. Lancet Neurol. 2023;22:1160–1206.
4. Rochmah TN, et al. International journal of environmental research and public health. 2021 Jul 15;18(14):7552.
5. Skajaa N, et al. Neurology. 2022 Jan 25;98(4):e329-42.
6. Sharma M, et al. N Engl J Med. 2026. doi:10.1056/NEJMoa2513880
循環器・脳血管治療薬に対するバイエルのコミットメントについて
バイエルは循環器領域のリーダーであり、アンメットメディカルニーズの高い循環器・脳血管疾患の革新的な治療薬のポートフォリオを推進しています。当社は、そうした疾患(脳卒中、心不全、心筋症、慢性腎臓病など)の治療に向けた革新的な治療薬の開発に明確な焦点を当てており、これらの疾患を持つ患者さんのケアにおいて主導的な役割を果たすことを目指しています。バイエルは、強固かつ多様なパイプラインにより、循環器・神経領域の未来を積極的に形作っています。戦略的に位置付けられたパイプラインにより、重要なアンメットニーズに対応し、長期的な価値を大きく推進することを目指しています。バイエルのポートフォリオには、革新的な製品や前臨床および臨床開発のさまざまな段階にある複数の化合物がすでに含まれています。
バイエルについて
バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。2025年のグループ全体の売上高は456億ユーロ、従業員数は約88,000名、研究開発費は58億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。
バイエル薬品株式会社について
医療用医薬品、コンシューマーヘルスの各事業を通じて、日本の患者さんのための治療に変革をもたらす持続可能な取り組みを推進しています。医療用医薬品部門では、アンメットメディカルニーズの高い循環器・腎・代謝領域、オンコロジー領域、眼科領域などのスペシャリティ領域、画像診断領域にフォーカスし、革新的医薬品の提供を通じて高齢化が進む日本の患者さんの健康寿命の延伸とQOLの向上に努めています。コンシューマーヘルス部門では、赤ちゃんの「人生最初の1000日」に適切な栄養を届けるため、女性の妊娠前から妊娠期間及び産後・授乳期を通じて栄養をサポートするサプリメントなどに注力しています。詳細はwww.pharma.bayer.jp, Facebook, YouTubeをご参照ください。
バイエル薬品株式会社
2026年5月19日、大阪
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements) が含まれている場合があります。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社のWebサイト上(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。